第3回 「化粧品・医薬品の皮膚透過性のメカニズムとその評価・解析法」

第1部 化粧品・医薬品の経皮吸収および皮膚透過性のメカニズム (2010.11.15)
【13:30~15:00】 杉林堅次(薬学部長)

 

 皮膚は医薬品だけでなく化粧品や香粧品など数多くの化学物質が適用される。外界にさらされた臓器である皮膚の働きはからだを環境から守ることにあるため、化学物質の浸透性は消化管、鼻粘膜、肺粘膜など他の上皮膜に比べ極めて低い。しかしながら、皮膚は肝初回通過効果を回避できること、投与方法が簡便であること、また、投与中断も簡便であることなどから、化粧品、香粧品はもとより局所作用だけでなく全身作用をも期待した薬物の投与部位として注目されている。また、近年では、化学物質の安全性に対する社会的関心の高まりにより、化学物質の経皮暴露が懸念されている。そこで、本セミナーでは化合物の皮膚透過性とそのメカニズム、化学物質の物理化学的性質と皮膚透過性の関係、皮膚透過性と皮膚中濃度などについて述べる。また化粧品成分の種類による皮膚透過性の違いのほか、インオントフォレーシスなどの能動輸送の有効性についても解説する。

〈講演の主なコンテンツ〉
・物質の経皮吸収とそのメカニズム
・化学物質の物理化学的性質と皮膚透過性の関係(化粧品成分の種類による皮膚透過性の違いなど)
・化学物質の活量と経皮吸収性の関係
・皮膚透過性と皮膚中濃度
・皮膚透過促進技術
・能動輸送の有効性

杉林堅次(すぎばやし けんじ)
1985年城西大学薬学部講師、助教授を経て98年より同大学薬学部臨床薬物動態学講座教授(2007年より講座名を薬粧品動態制御に変更)。現在薬学部長。この間ミシンガン大学、ユタ大学留学。現在日本香粧品学会理事、日本薬剤学会会長、日本動物実験代替法学会理事、日本DDS学会評議員など

 

 

第2部 医薬品・化粧品の皮膚透過性評価および解析法
【15:20~16:20】 藤堂浩明(薬学部助教)

 

 In vitro皮膚透過実験に用いられるヒト皮膚は、死体皮膚もしくは手術時に得られたものである。また、動物の皮膚ではヘアレスマウスやヘアレスラットの摘出皮膚などが繁用されている。しかし、近年実験動物の愛護の考えが進み、動物実験自体が問題視されつつある。現在ではヒト三次元培養型皮膚やシリコーン膜などの膜を用いた実験もおこなわれている。また、化学物質の皮膚透過は受動拡散過程として考えられ、拡散理論に基づいた解析が可能である。拡散モデルを用いた解析においては、拡散係数や分配係数といった物理化学的定数を用いることで解析が可能である。そこで、本セミナーでは様々な皮膚や膜を用いた皮膚透過性試験の実験方法について述べる。さらに、化合物の皮膚透過データを基に、Microsoft Excelを用いた解析方法について説明する。

〈講演の主なコンテンツ〉 
in vitro皮膚透過性測定法と評価(データ解析含む)
・3次元培養ヒト皮膚モデルと人工膜の利用
in vivo-in vitro相関 ・拡散理論に基づいて解析
・ヒト皮膚および動物皮膚の利用による皮膚透過試験
・Microsoft Excelを用いた解析法

藤堂浩明(とうどう ひろあき)
2004年~2009年
城西大学薬学部薬粧品動態制御学講座(旧:臨床薬物動態学講座)助手
2009年~現在
城西大学薬学部薬粧品動態制御学講座 助教