第27回「匂いセンサ:匂いをハイスピードで検知する“鼻”」

第27回「匂いセンサ:匂いをハイスピードで検知する“鼻”(2010.8.20)
講師:神崎亮平 先生 東京大学先端科学技術研究センター知能生命システム分野教授・理学博士

 香りはわたしたちの豊かな食生活や精神生活と密接に関係します。また、匂い(化学物質)の検知は災害やテロなどを未然に防止し、安全・安心な生活の質の向上にも重要な役割を果たしています。これまで香りや化学物質を検知するため、さまざまなガスセンサが作られてきました。しかし、警察犬、麻薬捜査犬、癌検知犬などにみられるように特定の香りや化学物質を高感度で素早く検知するには、生物の嗅覚能力に頼らざるを得ないのが現状です。生物の中でも昆虫はきわめて優れた匂いの検知、識別能力をもち、数キロも離れた匂い源を探し出すことができます。最近このような昆虫の優れた嗅覚能力を遺伝子や神経・脳の仕組みから明らかにし、昆虫の“鼻”を人工的に再現して,匂いセンサを作り、活用するための研究がはじまっています。ここでは、生物がもつ嗅覚能力とそれを活用した匂いセンサの現状について紹介します。