第169回「日やけ止めの新技術と処方」(2016.8.26)

 今回のFJセミナーは、“日やけ止めの新技術と処方開発”をテーマに開催します。
 紫外線が皮膚に与えるダメージについては広く認知されるようになり、紫外線防御の意識も消費者の間で高まってきています。紫外線防御剤としてのカテゴリーの製品だけでなく、デイケアで使用するスキンケア製品にも紫外線防御の処方が組み込まれ、SPF、PAの値も用途に合わせて様々です。様々な生活シーンに対応した処方は、まだまだ今後工夫され、改良されて新たな市場の拡大が期待できそうです。今回は、日やけ止めの新技術と処方について専門の講師の方々にお話しいただきます。  皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  

 

1.水に応答する自律性塗布膜の開発とサンスクリーンへの応用
【10:00〜10:50】資生堂 リサーチセンター 八巻 悟史


 均一な化粧品塗布膜を形成することは、化粧品の機能発現に重要である。特に日焼けや光老化、皮膚がんなどから肌を守るサンスクリーンにとっては、膜の均一性は紫外線防御効率に強く影響する。しかしながらレジャーやスポーツなどのシーンでは、水や汗によって塗布膜は乱れ、一部が欠落してしまうことが課題であった。そのため長年に渡り化粧品塗布膜の耐水性、耐汗性技術が開発されてきた。
 我々はこれらの化粧品膜の均一性を損なう原因となる水や汗に着目し、これらの水と化粧品塗布膜との相互作用を研究した結果、水と接触することで化粧品塗布膜が自律的に変化し、その塗布膜の均一性が高まる技術を構築した。調製したサンスクリーンの塗布膜の状態を各種顕微鏡で観察した結果、塗布膜表面の粗さが減少していることが示された。そこでこのサンプルでは実際に紫外線防御効果が高まっているかを確認するために、水に浸漬前後の吸光度測定を行ったところ、紫外線領域の吸光度の積算値として150%以上の増加が認められた。さらに水浴前後のin vivo SPF測定試験を行った結果、実際にヒトの肌でSPFの上昇が起こることを確認した。
 以上の結果より、塗布膜が水と反応して自律的に均一化する機構を応用し、水によって紫外線防御効果が高まる革新的なサンスクリーン基剤の具現化に成功した。この技術は汗や水でサンスクリーンが落ちてしまうという不安から人々人々を解放し、紫外線が強い過酷な環境でも日焼けや光老化から健康な肌をより確かに守れることに貢献できると考えている。

2.SPFブースターと耐水性ポリマーによるO/W型サンスクリーンの弱点克服 
【11:00〜11:50】ダウ・ケミカル日本 古谷 昌樹


 日本ではジェルタイプ商品が水々しい感触を与えるとして近年注目を集めている。それらの多くは水溶性増粘剤または高HLB界面活性剤を配合するO/Wエマルションである。O/Wエマルションには紫外線防御成分の配合量に制限がある、また水や汗に対して流れやすいという弱点がある。ここでは、これらニーズに向けたソリューションを最近の開発も交えて紹介する。

3.石油系界面活性剤フリー新規サンスクリーンの開発
【13:00〜13:50】ポーラ化成工業 研究所開発研究部 大樂 左知子


 近年拡大を続けるナチュラル化粧品市場において、配合が制限されることの多い石油系界面活性剤は乳化性に優れ、多様な種類から油剤に適した選択が可能であるのに対して、天然由来の界面活性剤は種類が限られており、紫外線吸収剤のような極性の高い油剤の乳化安定性確保が困難である。
 本講演では、天然由来のポリグリセリン脂肪酸エステルを用い、油剤種の影響を受けにくい『液晶乳化法』を活用することにより、紫外線吸収剤のみで高SPF、かつ、紫外線散乱剤を用いないため白さやきしみのないナチュラル系サンスクリーンの開発について紹介する。

4.キラル金属錯体と酸化チタンによる紫外光カットコンセプト
【14:00〜15:00】東京理科大学 理学部第二部化学科 教授 秋津 貴城


 紫外線カット化粧品(サンスクリーン剤)として、UVCやUVBの連続した短波長の光吸収や紫外線散乱剤となる酸化チタンなどの無機物微粒子、あるいは、主にUVBに適した紫外線吸収剤となる有機物が知られており、有機物の蛍光・励起状態制御などでも光吸収能向上が図られています。我々はアミノ酸誘導体キラル金属錯体で、錯体特有の電荷移動吸収帯がUVA吸収にも適することを見いだしました。本講演では、研究のコンセプトや、光反応や分子設計に関する一連の研究の現状をご紹介します。

5.紫外線散乱剤の形状制御、表面処理に着目したサンスクリーンの機能性向上
【15:10〜16:10】ファンケル 総合研究所化粧品研究所 渡部 敬二郎


 近年の猛暑、また、サンスクリーンの紫外線防止効果表示がSPF50+、PA+++からSPF50+、PA++++に引き上げられたことに伴い、消費者からも高い紫外線防止効果の製品が求められている。ノンケミカルサンスクリーンにおいて、紫外線散乱剤を高配合することで高い防止効果は得られるが、一方で安全性、透明性、使用感、洗浄性が課題となる。本講演では、課題解決のアプローチとして、酸化セリウムの形状制御や表面処理を用いた方法を紹介する。

※セミナー間10分間の休憩が入ります。

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