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セミナー・イベント


 

「香りトワ・エ・モア」セミナー過去の開催内容

第37回「ニンニクの香りと機能性─肥満・メタボリックシンドロームなどを中心として(2012.4.27)
講師:関 泰一郎 先生 日本大学生物資源科学部教授  

 ニンニクやタマネギなどの香味野菜は、食品に独特の風味を与えるのみならず摂取後消化管を経て体内で発揮される様々な機能性が注目されています。これらの機能性を担っている香気成分は、硫黄を含む物質であり、微生物や昆虫などの植物体への侵入、さらには動物による捕食に対する自己防衛手段として、これらの植物が獲得したものと考えられています。私たちの研究グループは、ガーリック(Allium sativum L.)の香気成分の機能性について研究を行ってきました。本セミナーでは、ガーリックの調理や加工による香気成分の生成機構、生成される香気成分の構造、その機能性についてわかりやすく解説いたします。特に生活習慣病やメタボリックシンドロームに対する効果に着目し、抗肥満、脂質代謝改善効果、抗血栓、抗がん作用を中心に、ガーリック由来の香気成分の機能性の概要と作用機構について紹介いたします。
(専門領域:栄養科学、分子細胞生物学)

第36回「香りの分析と香りの効果効能について(2012.2.28)
講師:櫻井和俊 先生 高砂香料工業株式会社 研究開発本部、分析技術研究所 主席研究員  

 我々は、これまでに果物、野菜、乳製品、肉類等の食品の香り、また特徴ある香りを有する花、また、食品香料や香粧品香料として使用されている天然精油などの香気成分について分析を行ってきています。そして、それらの分析結果を参考にして、新規なフレーバー(食品用香料)、フレグランス(香粧品用香料)、あるいは新規香料化合物の開発へと応用しています。
 本セミナーでは、最近行った天然花や果実の香り成分分析の一例を紹介するとともに、香料として使用されている天然精油の香り、あるいは香気成分として同定された化合物などの香りを用いた研究、すなわち、香りが人の健康や人の生理心理に与える影響についての研究“香りの効果効能(機能性)に関する研究”の一端をご紹介いたします。特に、香りの鎮静及び覚醒効果、リラックス効果、ストレス改善効果、さらに痩身効果(体重減少)などに関する研究報告を中心にお話を進めます。
(専門領域:天然精油成分分析研究と有機合成)

第35回「最近の脳研究から匂いの脳活動はどこまで解明されたか(2011.12.12)
講師:外池光雄 先生 藍野大学医療保健学部臨床工学科教授  

 4人に1人が高齢者というような超高齢化社会に突入した現在の我が国では、医療、健康、福祉がたいへん重要な課題となっており、脳への関心も高まって来ています。また、これに伴って匂いが脳でどのように処理され、如何なる影響を及ぼしているかを具体的に知りたいという要望が各方面から寄せられています。
 そこで本講演では、世界の「脳科学」研究全体のこれまでの経緯と最前線の話題を分かり易く紹介し、特に、「最近の脳研究で匂いの脳活動がどこまで解明されているか」について解説します。特に講演者が永年に渡って関わって来た脳波、脳磁図、fMRIのような高度先端計測技術を用いた研究の紹介、匂いの脳活動で最近明らかになったこと、現状の課題、今後の匂い計測の展望と産業応用などについて、新しい知見を交えて詳しく講演します。
(専門領域:生体医工学(Medical Engineering)分野、脳科学(Brain Science)分野。特に、匂いと味の脳計測・評価法、脳波・脳磁図・fMRI等の非侵襲計測研究、最近では「五感の感覚の脳内統合機能の研究」に従事。)

第34回「メディカルアロマセラピーの現状と将来の課題について(2011.10.28)
講師:塩田清二 先生 昭和大学医学部第一解剖学 教授、日本アロマセラピー学会 理事長 

 精油の持つ様々な作用を期待して医療の現場へのメディカルアロマセラピー(MA)の導入が進んでいます。しかし、MAの臨床効果の科学的根拠はまだ不十分であるといってよいでしょう。皮膚あるいは肺から体内に入った精油成分の体内動態の測定や、その臨床効果を評価する研究も端緒についたところです。MAを医療の場で正しくかつ安全に行なうためには、多くの基礎・臨床的研究結果が必要であり、その結果が正当性を持ち、再現性のあることを検証する必要があります。実際、科学的方法に基づいてMAの基礎・臨床的研究を行っているのは、世界的にみてもきわめて少ないのが現状です。本講演では、日本におけるMAの基礎・臨床研究成果の概要を紹介し、MAの現状とその将来の課題についても言及します。今後、MAは医療の場でさらに多く使われ、従来の医療を補完するものとして、統合医療のなかで重要な位置を占めると期待されます。
(専門領域:神経科学(ニューロサイエンス))

第33回「名画に漂う香り(2011.8.12)
講師:相良嘉美 先生 サガラローム代表(元HASEGAWA LETTER編集長)、香り文化研究家 

 「音楽と絵画」はよく関連付けられる。コンサートから帰るや、もどかしいようにキャンバスに立ち向かい、その感興をたたきつけたカンディンスキーのような画家もいる。
 しかし「香りと絵画」はあまり語られない。この講演会ではそれを試みる。
 気が付かないがよく見ると蒸留器のあるブリューゲル(父)の絵、イスラムの令嬢が香炉から立ち上るアンバーグリスの煙を衣装に受けるサージャントの絵、同じ画家の手になる白いラベンダーパウダーを肌に塗ったパリジェンヌの絵、パチュリの葉が脇に置いてあるはずのマネの絵。多数の画家が描いたナルドの香油壺など、香りを描いた名画はたくさんある。
 それらを見つけると嬉しくなる。そして美術館に行くのが楽しくなる。こうした名画を探す試みも香りを美学に結びつける一方法ではなかろうか。この会ではそんな提案をしてみたい。
(専門領域:香り文化研究)

第32回「花粉症は香りでどこまで防御することが可能か(2011.3.30)
講師:川口健夫 先生 城西国際大学環境社会学部教授

 やっとピークを過ぎた感のあるスギ・ヒノキ花粉症ですが、 人によっては、これからが花粉症の季節になる場合もあります (シラカバ、ブタクサ、ヨモギ、イネ科など)。また、花粉症の 症状は、目や鼻の炎症に止まらず、呼吸器(喘息)、消化器(下 痢、嘔吐)、頭痛、皮膚炎などに及ぶこともあります。アレルギ ーは、基本的には炎症性疾患ですが、エッセンシャルオイルの 中には抗炎症作用を示すものも多く、花粉症の諸症状の緩和に 有効です。また、交感神経と副交感神経のバランス回復が、ア レルギー症状の軽減には重要で、自律神経系の調整作用のある エッセンシャルオイルの存在も重要です。
 今回のセミナーでは、花粉症を中心としたアレルギー疾患の 発症メカニズムを概説し、喘息や皮膚炎も含む、個々の症状緩 和に有効な香り成分やエッセンシャルオイルについて述べたい と思います。(専門領域:ハーブ、アロマセラピー、タラソテラピーなど)

第31回「生きた花の香りを楽しむ(2011.4.28)
講師:大久保直美 先生 花き研究所主任研究員

 花の香りは様々な香気成分で構成されています。同じ成分で 構成されていても、濃度が変わると香りは全く違った印象とな ります。例えば、香気成分量が多すぎて匂いがきつく感じられ る花でも、成分量を減らしてやればマイルドになります。
 花き研究所では、香気成分の分析や香気成分を作る遺伝子の 解析などにより、花が香る仕組みの研究を行っています。その 過程で、ユリの強すぎる香りを抑える方法が開発されました。 処理された「カサブランカ」の香りは、マイルドで優しい印象 に変わります。現在は、実用化に向けての試験が行われている ところです。
 今回の講演では、花の香気成分や花が香る仕組みと、ユリの 香り抑制法を中心とした花の香りの調節法についてご紹介した いと思います。また、実際にいくつかの生きた花の香りを体験 していただく予定です。(専門領域:天然物化学・園芸学)

第30回「著名な香水クリエーターの創作活動から学んだこと ─新刊書「名香にみる処方(レシピ)の研究」に寄せて─(2011.2.25)
講師:広山 均 先生 フレグランス・デザイナ−

 パフューマーの夢は、香水のクリエーターになって世界に雄飛することですが、現実はかなり厳しくて競争が激しく熾烈です。このようにして選ばれた世界のクリエーターたちにお会いしていつも感銘を受けることは、
(1)調香への真摯な態度
(2)豊かな創造性、独創性
(3)人間としての魅力
などを挙げることができます。
 このような感動を総合してみますと、美しい香りとは何かを求めての調香研究であり、その背景に美しい香りとする調和とバランスがあって、それを構成するに相応しい香料を選び出しています。つまり、そうした調香研究の理想的な教科書が名香である、というのが本書の底流にある基本姿勢です。
 今回は、著名な香水のクリエーターにスポットライトをあてて、クリエーションにまつわる数々のエピソードを語ります。

第29回「植物の香りの効能 ─新たな視点からの理解─(2010.12.10)
講師:梅津豊司 先生 (独立行政法人)国立環境研究所

 植物の香り成分である植物精油(エッセンシャルオイル)は、香料として、あるいはアロマテラピー等で広く使用されています。近年は、エッセンシャルオイルに様々な生理活性(機能性)があると考えられるようになり、様々な疾病や症状の緩和・改善を目的として使用されることも多くなったようです。一般的には、その効果は香り刺激(嗅覚刺激)によりもたらされていると考えられているようです。しかし、それは本当で
しょうか?
 香りをもたらすのは化学物質です。昔から疾病・症状を緩和・改善する数多くの化学物質が見いだされ、薬として利用されてきました。香り物質にも薬と同じような作用があり、そのために香りにより疾病・症状が改善する可能性はないでしょうか?
 このような疑問を持ち研究している人々が世界で増え続け、香り物質の疾病治療効果すなわち薬理作用が少しずつ明らかになりつつあります。このセミナーでは、香り物質が心の病や症状を改善する可能性について、薬理作用があるという視点から解説します。

第28回「匂いと生き物のなぞを探る ─研究の現場から─(2010.10.29)
講師:澁谷達明 先生 香りの図書館館長

 隔月におこなわれている当セミナーの視点の一つは、匂い・香り・アロマに関する日々進歩している研究の成果を、なるべく分かりやすく参加者の皆さんに解説することによって新旧のいろいろな重要な情報を手にしていただくことです。
 一方、斬新なアイデアはもちろん、実験や調査の現場でのちょっとしたひらめきなども研究には意外に重要になってくることがあるものです。今回は長年の研究の結果とともに、さらに体験から得られたエピソードや同僚のすぐれた着想なども加えて、匂いや香りの研究の面白さなどを解説します。

第27回「匂いセンサ:匂いをハイスピードで検知する“鼻”(2010.8.20)
講師:神崎亮平 先生 東京大学先端科学技術研究センター知能生命システム分野教授・理学博士

 香りはわたしたちの豊かな食生活や精神生活と密接に関係します。また、匂い(化学物質)の検知は災害やテロなどを未然に防止し、安全・安心な生活の質の向上にも重要な役割を果たしています。これまで香りや化学物質を検知するため、さまざまなガスセンサが作られてきました。しかし、警察犬、麻薬捜査犬、癌検知犬などにみられるように特定の香りや化学物質を高感度で素早く検知するには、生物の嗅覚能力に頼らざるを得ないのが現状です。生物の中でも昆虫はきわめて優れた匂いの検知、識別能力をもち、数キロも離れた匂い源を探し出すことができます。最近このような昆虫の優れた嗅覚能力を遺伝子や神経・脳の仕組みから明らかにし、昆虫の“鼻”を人工的に再現して,匂いセンサを作り、活用するための研究がはじまっています。ここでは、生物がもつ嗅覚能力とそれを活用した匂いセンサの現状について紹介します。

第26回「日本人は「香」に何を求めてきたのか?─歴史と共に、塗香・練香・香木「聞香」を体感する─(2010.6.30)
講師:稲坂良弘 先生 香司「香十」代表・劇作家

 今年は「平城京遷都1300年」です。長い歴史の中で幾時代、日本は香の文化の創造を重ね今日へと発展させてきました。その物語をたどりつつ、会場で「塗香」に触れ、「練香」を焚き、伽羅香木の「聞香」も体感する講座です。
(1) 穢れを除き、心身を浄める香 ―飛鳥・天平・奈良の祈りの香とは
(2) 生活実利と自己表現の香 ―平安王朝の雅びなくらしの香とは
(3) 武家の生き様の美学の香 ―鎌倉・室町期の香木文化とは
(4) 各階層へ広まる香文化 ―江戸期の遊芸香楽とは
(5) 西と東、4000年の出会いの香 ―文明開化から現代の香が始まる
(専門領域:香道、香文化、香の伝道師)

第25回「香りが人におよぼすさまざまな効果─その実験例などを参考にして─(2010.5.28)
講師:國枝里美 先生 高砂香料工業株式会社 企画部マーケティング部&研究開発本部AMT2部 センソリーグループ

 私たちは、日々の生活の中で様々な匂いに接していますが、匂いに対する感じ方や印象に残る匂い、その表現、嗜好などは必ずしも皆が同じではありません。匂いに対する感受性には年齢や地域などによって違いが認められており、これには嗅覚機能とともに経験の程度や文化的背景など様々な要因が複雑に影響しています。また、匂いは人の心や体にも影響を与えることが知られていますが、その匂いの作用は、実際の行動を変えるほど決して小さなものでないことが示唆されています。
 人の匂いに対する感受性について様々な実験例を示しながら、現代社会における私たちの嗅覚の重要性と香りの有用性について考えてみたいと思います。(専門領域:官能評価分析、感覚研究、においの教育)

第24回「脳と匂い ─脳疲労、認知症、老化等最近の話題から─(2010.2.26)
講師:外池光雄 先生 千葉大学大学院 工学研究科 メディカシステムコース教授

 私達が日常、物ごとを考えたり話をしたり、また喜怒哀楽を表現できるのも、総ては私達の脳が働いてくれていることによります。実際に、もしも私達の脳に何らかの障害が生じると、これらの事が正常に出来なくなったりします。 例えば、脳が極端に疲れたり、あるいは脳の老化が進行して来るようになると、これまで思っても見なかった症状が出て、大変困ったことになったりします。実は、脳に対する関心が今日ほど高まったことは他にありません。恐らくこれは現代においては、脳が果たす役割が何よりも大きいことを示しているものと思います。このような大切な私達の脳は、一体、どのような仕組みになっているのでしょうか? そこで、まず脳についての基本的な原理について易しく概説し、続いて、「脳を活性化する様な方法はあるのか?」、「脳の疲労は一体どうすれば回復できるのか?」、などについて述べます。次に、匂いの感覚は脳の中でどのように処理されているのか、について説明します。また、脳と匂いとの特別の関係について、現在の最先端の研究成果を分かりやすく紹介しながら解説します。最後に、匂い・香りの今後の役割や応用の例など、展望についても述べる予定です。(専門領域:情報工学・脳科学)

第23回「“香を聞く”聞香の和の香文化 ─1400年の創造と現代、そして聞香体験─(2009.10.30)
講師:稲坂良弘 先生 株式会社 香十 代表取締役社長

 仏教伝来と共に歩み始めた日本の香文化は、祈りの香から、平安王朝の高雅な生活文化へと発展。やがて天与の香り沈香一木を愛でる武家の気風と、王朝以来の公家の美意識とが、室町期に、世界に類をみない香の芸道「香道」を創成させます。
 香を聞く「聞香」という繊細な方法で精神の芸道を構築。そして今、日本の香文化は、先端の道を拓こうとしています。
 430年の香司「香十」の代表が、伽羅・沈香の「聞香」と共に劇的に物語る“聞香体験”講座です。
(専門領域:香道、香文化、香の伝道師)

第22回「香りを色で表現する(2009.10.30)
講師:妹尾正巳 先生 (株)コーセー研究所

 香りを表現するのは難しいものです。先日カレー屋の前で漂っている香りを嗅いだ瞬間に、「あっ、カレーだ!」と思いました。しかしどことなく、自宅のカレーとは違う気がします。多くのスパイスを使っているというか、濃いというか…。カレーの専門家?であれば「クミンが効いて、シナモンの香りも…」などと表現するのかもしれませんが、専門知識のない私には、行ったこともないのに「本場インドっぽい香り」などと言うのがせいぜいです。しかしこれでは香りの違いを表現できていません。そんな時、なんとなく赤茶けた色のルーが頭に浮かびました。「本場インド」よりも「赤茶けた色」の方が違いを表現してるような気がします。香りは目に見えないために言葉で伝えるのに苦労しますが、目に見える色で表現できたなら、もう少し上手く伝わるのかもしれません。第22回は、香りと色の関係を振り返りながら、色という表現方法の可能性を考えてみたいと思います。
(専門領域:官能評価研究、美容理論研究、心理効果研究)

第21回「香りと色の相性の心理─その感性を心理的側面から見る(2009.8.28)
講師:齋藤美穂 先生 早稲田大学人間科学学術院教授、博士(人間科学)

 これまで、香りと色彩を組み合わせることによってもたらされる心理的イメージの変化や気分の変化、脳波などの生理的変化を分析するといった研究を続けてきましたが、それらの研究結果から、香りと色の相性の良さが、心理的にも生理的にも相乗的な効果を生み出すことが確認できました。
さらにそのような組合せを用いることによって、これまで分類することが困難であった多くの香りを、心理的側面から分類することに着手し、データベース化を試みています。セミナーでは「香り」と「色彩」という嗅覚と視覚に関連した二つの別々な感覚が結びつくことによって生み出される感性研究の広がりとその可能性に関してお話をしたいと思います。(専門領域:色彩情報論、デザイン心理学、デザイン・色彩心理研究法)

第20回 「動物の匂いの世界─匂いを介して動物社会の謎をといてみよう(2009.6.26)
講師:菊水健史 先生 麻布大学獣医学部

 動物の世界はさまざまな匂いに包まれています。親子の関係、オスとメス、縄張りの争いなど多くの行動が匂いによって制御されていることが、行動学の研究から明らかになってきました。また動物の嗅覚研究が発展すると共に、これまで謎となっていた動物の匂いの世界の理解が、より深く進んできています。今回の講演ではこのような動物のもつ不思議な能力、嗅覚に焦点をあて、動物がすむ匂いの世界を紹介したいと思います。(専門領域:動物行動学・行動神経科学)

第19回「われわれはどのように匂いを感じているか─嗅覚器が匂いを受け取るしくみをやさしく解説(2009.4.24)
講師:山岸公子 先生 東京都臨床医学総合研究所主任研究員・先端研究センター

 多くの哺乳動物は、匂いによって食物のありかや危険を察知します。また生殖や子育てなどの社会行動を円滑に行うために、フェロモンを利用しています。このような匂いやフェロモンは嗅上皮や鋤鼻器などの嗅覚器で認識されます。近年、匂いやフェロモンの受容体遺伝子が次々と発見されたことを契機に、最も難解と考えられていた「嗅覚のメカニズム」が少しずつ解き明かされてきました。
そこで今回は、「受容体」をキーワードとして、匂いやフェロモンを感じるしくみを易しくお話したいと思います。
(専門領域:分子生物学的手法を用いて、脊椎動物の嗅覚系、特にフェロモンの受容機構を研究)

第18回「精油のエビデンスと香りの癒し効果」(2009.2.20)
講師:小林義典 先生 北里大学薬学部教授

 アロマテラピーとは、芳香植物から得られる精油を、心身の健康を維持するために活用する方法です。芳香植物は古来より医薬や香料として利用され、その歴史は古代のエジプトに遡るが、現在のアロマテラピーが形成されたのは今から100年程前です。近年、補完統合医療や予防医療への関心が高まる中で注目を浴びるようになってきたが、臨床的効果が実証されている例は少ない。本セミナーでは、これまでに臨床的有効性が科学的に示されている例を紹介し、精油のメタボリックシンドロームの予防や治療における活用の可能性について解説するとともに、レーザードップラー血流計によるストレスの評価をデモンストレーションします。
(専門領域:生薬学、薬用植物学。特に、伝統的薬用植物の生理活性の評価と解析。)

臨時セミナー「においとアート ─におい・メディア・アーティストの世界」(2009.1.9)
講師:上田麻希/http://www.ueda.nl

 香水やアロマテラピーなどの実用の面を超え、匂いはどのような可能性を持っているだろうか?この問いを出発点に私は、匂いをまるで絵筆やキャンバスのように用いて表現活動をしています。いわば鼻で鑑賞するアートです。特に私達が普段嗅ぐような、身近な生活の匂いに焦点を当て、料理や飲み物・素材・人・空間などの匂いを古典的な方法で抽出し、香水化しています。記憶や感情を呼び起こし、文化や習慣を直接的に体験する媒体としての展示を試みています。このように嗅覚に取り組んでいる作家は今のところ、アートの世界においてはほとんど存在しません。今回のセミナーでは実際に私が抽出した「オランダの秋の落ち葉の匂い」など、数々の匂いを鼻で鑑賞していただきます。
(専門領域:メディア・アート、Kichen Table Perfumer)

第17回「色をイメージする香り《パートII》─香りの質感視点でみえてくる新しい世界」
(2008.12.19)

講師:澤村 茂/花王(株)香料開発研究所主席研究員(チーフパフューマー)

 香りは目に見えません。香りのイメージを的確に表すことは極めて難しいことです。香りから受けるイメージと、色から受けるイメージには何か関係があるのでしょうか?前回の講演では香りと色のイメージの間にある関係を、香りの表現ワード、香りの視覚化の試み、消費者がどのように香りと色のイメージをとらえているか、実際の商品ではどのように色と香りが使われているかについて見てきました。さらに香りの質感の重要性にふれ、香りをつくるヒントが生け花にも見つかることをお話しました。今回の講演では、まず前回の色と香りのイメージの部分を少し補いながら要約していきます。次に香りを色や形に加えて、質感という視点でとらえた場合どのような新しい世界が広がるかについて、生け花との比較も交えながらいくつか実例をあげてみたいと思います。
(専門領域:調香、モデル処方の開発)

第16回「脳は香りにどのように反応するか─その作用を測る」(2008.10.28)
講師:外池光雄/千葉大学大学院工学研究科メディカルシステムコース

 香りには人によって好き嫌いがあったり、特定の香りで突然昔の記憶や情景を想いだすことがあります。香りによって働くと思われる脳のいろいろなメカニズムはまだよく分かっていないことが多いのです。
 それを少しずつ解きほぐしてゆくことが大切ですが、それらをしらべてゆく方法は、脳波に加え近年かなり進んできました。匂いや香りに対する脳の反応を計測する代表的な手法をできるだけわかりやすく紹介します。その結果最近明らかになってきたこと、そして香りが果たしている重要な役割、さらに香りの有用性について解説します。そしてこれらの生体反応が将来どのようなことに応用できるのか、その可能性についても述べます。(専門領域:情報工学・脳科学)

第15回「森からの賜りもの─森林環境がもたらす癒しの効果について」(2008.8.29)
講師:本間請子/科学技術振興機構 東京本部 産業医

 森の中には様々な生き物が生きています。香り、色彩、光、風の音、鳥の鳴き声、せせらぎの音、清浄な空気、静けさ、還元マイナスイオン、霊気を森林内では全身に享受することができるのです。太古の昔から変わらないこの森からの賜りものを出来るだけ多く受け取り楽しく健康な日々を過ごしましょう。
 森の香りには樹木から発するフィトンチッド、植物自体の香り、みどりの香り、草花の香り、土の香り、動物の匂い、春夏秋冬の空気の匂いなどがあります。
 森林内に足を踏み入れた時にさわやかな気持ちになることは、皆さんの多くは経験されていることでしょう。この森林環境要素が人の心身に与える効果の科学的研究も少しずつ進んできています。今回は、森から発散される様々な香りの贈り物について考えてみます。(専門領域:内科学・老年病学・呼吸器学)

第14回「色をイメージする香り─質感ゆたかな香りを求めて」(2008.6.27)
講師:澤村 茂/花王(株)香料開発研究所主席研究員(チーフパフューマー)

香りは目に見えません。音や色のようにそれを計測して数値に表すこともできません。五感の中で香りが最も言葉で表現しにくいとされています。いろいろな専門用語を駆使しても、香りのイメージを的確に表すことは極めて難しいことです。
一方、香りを嗅いだときに色をイメージすることがあります。「白っぽいイメージの香りをつくって下さい。」とリクエストされることもあります。サラサラしたイメージの香りや、フワッとした香りを求められる場合もあります。触感を感じることができる香り(質感ゆたかな香り)をつくることは、香りの創作において非常に重要な事だと考えています。この講演では、まず香りと色のイメージの関係についてみていきます。次に香りの質感の重要性をとりあげ、香りをつくるヒントが生け花にも見つかることを紹介したいと思います。(専門領域:調香、モデル処方の開発)

第13回「病気のにおいと嗅覚診断について」(2008.4.18)

  • 「病気のにおいと嗅覚診断について」外崎肇一

第12回「花の香りを創る─花き園芸における香りの研究─」(2008.2.28)

  • 「花の香りを創る─花き園芸における香りの研究─」大久保直美

第11回「オーラルケアと香り─口臭のメカニズムとアロマによる予防対策─」(2007.12.21)

  • 「オーラルケアと香り─口臭のメカニズムとアロマによる予防対策─」千葉栄一

第10回 「調香の考え方と技術について」(2007.10.26)

  • 「調香の考え方と技術について 」駒木亮一

第9回 「香りの安らぎ効果を科学する」(2007.8.31)

  • 「香りの安らぎ効果を科学する〜アロマテラピー・森林浴・嗜好飲料〜」青島 均

第8回「天然精油の新たな薬効を求めて」(2007.6.29)

  • 「香りの故郷を訪ねる旅 ─エッセンシャルオイルの新たな薬効を求めて─」山本芳邦

第7回「やさしい香りの効果をエビデンスする」(2007.4.27)

  • 「エビデンスにもとづいたアロマセラピー:アロマファーマコロジーの可能性」桜井 弘

第6回「やさしい森の香り入門」(2007.2.15)

  • 「森の香りのすがすがしさとその働き」谷田貝光克

第5回 「やさしい香り心理学 入門」(2006.12.14)

  • 「におい好き嫌いの心理学」斉藤幸子

第4回 「やさしい花の香り シリーズ(2)」(2006.10.27)

  • 「花の香り素材を求めて 」蓬田勝之
  • 「どうする花の香りの再現」広山 均

第3回 「やさしいにおい行動のメカニズム」(2006.8.25)

  • 「アリの触角でみたケミカルワールド」山岡亮平
  • 「香りに支配されるハチ類の社会行動」小野正人

第2回「やさしい花の香り シリーズ(1)」(2006.6.23)

  • 「花はなぜ香るのか−その仕組みを探るー 」渡辺修治
  • 「花の分類・形態と香りの評価」半田 高

第1回「やさしい嗅覚入門」

  • 「香りは鼻から脳へ 」渋谷達明(2006.4.14)
  • 「知られざる鋤鼻器官の働き 」市川眞澄(2006.4.21)
  • 「フェロモンの香りと生殖行動 」神崎亮平(2006.4.28)